9時から営業するモービル江刺店のガソリン補給行列に並んだのが朝7時半。
ここでは3千円分までガソリン限定販売で19.5L。
支払い済ましたのが10時30分だから、3時間のウエイテング!
昨夜走り続けた東北道では一般車両はほとんどナシ。
災害派遣の自衛隊車両と各地からの赤い消防車、そしてやはり災害支援車と明記された各地の県庁、市役所の車達。そんな車が周りにいると何故か安心した気分になる一人旅だったが、現地のゴンゾー氏とここでやっと合流した。
聞けば、ここ奥州市では、家崩壊などの地震被害はまるで無しとの事。やはり THE TSUNAMIなのだ。
パンと牛乳が一切ないと言うゴンゾー家に、足立加平のスーパーで買った食糧品を下ろして、代わりに江刺金札米を積みこんで、これからはロコ・ゴンゾー氏の運転で釜石に向かう。
ゴンゾー家の3/11夜のドキュメントを聞く。足の踏み場もない屋内にやっとの事で寝るスペースを確保した台所で、電気、水道なく、炭を起こして80を超えた父母に暖を取らせ、二人の息子達と過ごした話を聞くと、やはり非常時に於いて普段はドラな息子達も頼もしいもの!
普段の釣行と変わらない山間と渓、そして陽だまりに、これから見る光景での帰り道の気分を察して、あえて互いにロッドの一本も積んでくればよかったなあ、なんて軽口を叩く。
沿岸部に近づく程に、自衛隊車両が増えてくる。釜石市内に入ると全ての小学校、中学校の校庭で、自衛隊が野営天幕を張り、おびただしい数の国防色のクルマ達だ。
トヨタ製の迷彩色に塗られた、長いアンテナが二本ツノの様に高く聳え立つ偵察用車両なのかが、やたら走り回っているが、これが実にカッコイイ!!思わず欲しいとツブヤいた!
山側からのエントリーなので道を進む程に海に近づき、互いに無口になる。道行くヒトの歩みは遅く、やたら肩を落としているその姿を訝しげに思いながら、FM岩手の臨時サテライトスタジオが入る釜石総合支所にたどり着く。
ロビーエントランスの壁という壁すべてが、尋ね人の伝言掲示板と化している。
支所の一般事務室を急遽、被災地からの震災最前線スタジオに仮設しているその場では、パーソナリティを務める阿部志穂さんが、盛岡タイムスの取材を受けている最中だった。
本来なら町おこし観光情報局が被災地報告支局になったわけだが、その要となる2WAYなFAX等の設置で右往左往している様子。阿部志穂さんは、このサテライトスタジオのパーソナリティの職を得て、先月千葉より引っ越してきたとの事。
盛岡タイムスの腕章を巻く若い記者クンは、ガソリン節約で自転車取材です、と元気良い!肉体優先な感じがありながらも少し知的でもある涼涼しい青年でした! ◎
収録風景を写真にとの記者クンの要請で、読み上げた阿部志穂さんの声は先ほどまでと違い、プロの美声でした。こちらも ◎ これから頑張ってくれ!
この仮設スタジオに加湿器(例のイラン人の奴です、不肖大石は何故に物資補給リストに加湿器がの疑問が半分判った気にもなり敢えて口に出さずに=後述)を置いて、街中のFM岩手釜石支局へ向かうが、先方受け入れの時間調整で、先に大槌町に廻る事にした。
釜石駅を過ぎたあたりで風景は変わった!その後の大石が目にした光景を語る言葉、そして書く文章力はない。書けば書くほど、語れば語るほど、薄っぺらくなる思いだ。この壮絶な風景を暫し不肖大石は封印するつもりです。心に記した思いを語るには書くには、そう暫しの時間が必要です。現地を目にした者の務めは充分理解しています、しかし、決して軽々しく語れないのです。高さという明確な生と死の分岐点をあれほど単純に見せつけられると、そこから考える底知れない摂理という奴。あの町が街が村がただの瓦礫の砂浜なのです。本当にただの砂浜です。
やめましょう行程記に戻りましょう。
テレビで見慣れた空を舞うクルマ達を横目に海岸通りを進むと、全ての交差点では兵庫県警のパトカー、警官で管理されている様。岬を曲がる度に声にもならない声で呻くだけで、二人とも無言。岬の先は紺碧に輝く海が。。。眩く!壮絶に綺麗だ!
沿岸部の釣行では、何度もお世話になった<さんずろや>は、ここ大槌の海を見おろす、元気な女将さんが家族と共に切り盛りする料理自慢民宿だ!次男坊はナンバー8を務めるラグビー少年だった!スパイス号(ハイエース)はギヤを一段下げて登り坂に向かう!
つづく
コメント