クラブワールドカップの取材申請が何とか通り、何試合か観戦しています。それにしてもバルセロナの強さは出色です。どのチームも非常にバランスがとれていて、各ポジションに優秀な選手を揃えているのですが、バルセロナに比べたら色あせてみえました。バルサの初戦となったクラブ アメリカ戦はユースとトップの違いを感じるほど圧倒的な技術力の差がありました。
試合中、どうしてここまで違うのかをずっと考えていました。フィジカルに差はない。止める蹴るの基本技術も差はない。運動量もほぼ同じ。中盤と前線のポジションチェンジは両チームともやっていたし、攻撃に移った際の後方からの攻め上がりも同じようなものでした。
ただ唯一決定的な違いがありました。それがメンタルです。オシム監督が試合後語っていたようですが、クラブアメリカは「相手を尊重しすぎていた」と。まさしくその通りの試合でした。前半立ち上がりからロナウジーニョの自由を奪いにいったクラブ アメリカですが、最初の数分間の数タッチで腰が引けてしまっていました。その後はファールで止めるタイミングすら掴めずにズルズルと下がり、ロナウジーニョのみならずバルサの選手全員に自由を与えてしまっていました。
そんなクラブアメリカの弱気なプレーぶりの所以が、監督コメントからわかりました。「バルセロナが勝つことはわかっていた」。最初から勝つ意識が希薄で、この監督の弱気がきっと選手にも伝播したんでしょう。
ただバルセロナの強さは、クラブ アメリカの軟弱なメンタルにすべて起因するものではありません。それはバルセロナに漂う王者の風格です。自分たちの強さを誇りに思い、どんな相手に対しても絶対に負けないという自信がチーム全体にみなぎっています。相手と対峙しても「絶対に取られるわけがない」と思えば、顔をあげ回りの動きを見ることもできます。それが球際での余裕につながり、トリッキーなヒールパスや相手を3人引き付けてからのスルーパスを生み出しています。
でも確かに彼らのプレーは驚嘆ものでした。決勝も楽しみです。
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