09年9月10日に総務省が国内放送事業者の09年3月期収支状況を発表しました。これによると、テレビ、ラジオ局計195社全体で、資料上確認できる1976年3月以来初の赤字に転落したそうです。分析によると、広告費の減少で経営に影響を与えているそうで、かたやネットの広告費が伸び率が減少したとはいえ増えているのを見ると、やはりマスメディアの力が衰えて、ネットに食われているように見えます。
しかし、広告費の数字だけでマスメディアの力が衰えたと決め付けるのは早計です。確かにライフスタイルの変化により聴取機会が減り、あふれかえる情報により、広告表現は評価されても、そこに謳われている美辞麗句は賢い消費者により見極められ、大量露出による戦略も認知度は上がるが購買に結びつかない。これでは企業もマスメディアに広告を出稿しようという意欲が薄れてくるのは確かです。が、一方で、戦略PRなどで重要なトレンドを作るのはブログやSNSよりも、今もマスメディアが中心であるのも事実です。
PRでは、広告、CM枠ではなく、番組内で、ニュースや話題として取り上げてもらえるように画策します。そこで取り上げられると、最近でもバナナダイエットなど一大ムーブメントが湧き上がります。
その力たるや、国を動かすといっても過言ではありません。一度ブームが加熱すると、その影響力、消費力は甚大で、一企業だけでは対応できる範囲を超え、その業種とその関連業種にまで及びます。これにより、よい方向に向かえば利益アップのみならず、現在であれば不況脱出のきっかけになるかもしれませんが、間違えた方向に向かうと、一企業が簡単につぶれてしまうほどの影響があります。
良かれ悪しかれ、いまだマスメディアの力は強大なのです。(編:三浦)