先日、漫画家から突然、売り込みの電話があった。出版社から紹介されて「ぜひ描きたい」とのこと。名前を聞いてみると、どこかで聞いた事のある名前。
もしかすると…と思い、聞いてみると、20年ほど前にツアーで知り合った友人だった!
厳密には24年前になるが、当時、大学生だった私は大学の卒業生である漫画家の石坂啓さんに誘われてツアーに参加した。かの有名(?)な『ピースボート』である。
その頃はまだたしか第2回目で、それほど知られていなく、お題目ほど堅苦しい物でもないツアーだった。旅行嫌いの私だったが、その頃、ヤングジャンプで連載していた有名漫画家の石坂さんに直々に誘われたとなると、「これは行かなければ!」と参加したのだった。
結果、若き日のいい想い出になったし、東京に出て漫画家になるきっかけとなった「運命の旅」だった…といまは思う。(あ、知らない人もいるかもしれませんが、私、漫画家でした。特にやめてはいませんが…)
その旅行には石坂さんの誘いで何人もの漫画家が乗っていて、いま思えば、そこで知り合った漫画家がいま仕事でおつき合いしている漫画家の原点となった。そこからつながった友達の友達が20年の間に膨れ上がり、一緒に仕事をする友人となっているわけである。そう考えると、人生、何が幸いするかわからない。すべてのことが今につながっていると、つくづく思う…。
で、話は戻して、電話の彼だが、当時、手塚プロで働いていて…といっても、その頃、彼は手塚プロの資料室で働いており、漫画家ではなかったのだが、彼もまたその後、漫画家としてデビューしていたのである。話をよくよく聞いてみると、彼のペンネームには聞き覚えがあり、雑誌でよく見かける名前だった。まさか、彼が漫画家として一線で活躍するようになるとは…驚きである。
とにかく、人の一生、どこでどうなるのかわからないが、面白い物である。自分にしても彼にしても、20年前には想像しなかった現在の生活。偶然かかってきた友人からの電話に、懐かしさとともに、出会いからはじまった今、の不思議を考えさせられた数日だった。
いま一緒に仕事をしている仲間も、きっと何かの縁。何年か後には自分にとって“不思議な出会い”だったと感じることもあるのだろう…。
コミックメディア部 湯浅
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